歯の健康メモ
口腔ケアで肺炎予防
【平成26年5月号】
東京都小金井歯科医師会 / 菊谷 武
誤嚥性肺炎をご存じですか。 日本人の死因の第3位は肺炎です。
ご高齢の方の肺炎のうち多くは、この誤嚥性肺炎と言われています。
誤嚥性肺炎は、口に存在する細菌を誤嚥(気管や肺に誤って侵入すること)することによって生じます。
口の中には多くの細菌が存在しており、通常は悪さをしませんが、 口腔ケアが十分でなくなったり、体の抵抗力が落ちたりすると、悪さをしだすことが知られています。
肺炎の原因菌は雑多な菌によるもので、 誤嚥された細菌の種類より細菌の量に関係が深いといわれています。
このため、ワクチンによる予防はあまり期待できません。
この誤嚥性肺炎の予防に最も効果があると言われている予防法は、口腔ケアです。
歯ブラシや口の粘膜のケア、義歯の洗浄などによって、菌の数を減少させることができれば、大きな予防効果が期待できます。
一般に口の中の細菌数を低下させるには、徹底的な口腔ケアを必要とします。
介護が必要になった方の場合は、たとえ自分でケアをすることができても、細菌数を低下させるほどの期待はできません。
必ず、ご家族や介護士さんのお手伝いが必要となってきます。
口の構造は複雑怪奇、また、口腔ケアをしている最中に細菌の多く含まれた唾液を誤嚥してしまうようであれば大変です。
一度、歯科衛生士の指導を受けてみられてはいかがでしょうか。
お近くの歯科医院にご相談ください。