歯の健康メモ
歯科治療受診時にはお薬手帳・お薬の説明書をご持参で
【平成22年11月号】
東京都小金井歯科医師会 / 吉越 留美
医療の進歩に伴い、常にお薬を飲んでいる方が大勢いらっしゃいます。ご高齢になりますとほとんどの方が何かしらのお薬をお飲みの場合が多いようです。医科により処方された薬でも、歯科治療に関連のある薬が中にはあります。
特に抜歯や歯科小手術の治療を受ける場合には血が止まりにくかったり、骨が再生しにくかったりするものもあるため、注意が必要です。血液に対する作用を有する薬剤で、止血しにくくなるものに、抗凝固剤があります。主に高血圧・脳梗塞の予防に使用されている、ワーフアリン、チクピロン、バイアスピリン等があり、抜歯時に内服を一時的に中断するものや、続行しながらも止血に注意して手当を考えなくてはならない薬があります。
骨に対して作用する薬剤で、骨粗しょう症・骨疾患治療薬であるビスホスホネート薬の投与を受けている方の抜歯で顎骨壊死等の治療不全があったとの報告もあります。注意深い観察が必要になります。
また、そのほか薬剤に関しては、ある種の抗てんかん薬・高血圧の薬により歯肉肥大が起こり、歯周病に移行しやすくなる場合もあります。
抗けいれん薬のダイランチン、高血圧や狭心症の治療薬としてカルシウム拮抗薬があげられます。歯肉の肥大では歯周治療により良好に改善していきます。また、全身疾患では糖尿病と歯周病の関連も報告されており、医科と歯科の相互の治療で改善されると良好になっていきます。
いずれにしても歯科の定期的な健診と口腔内のケアは大切ですので、日常的に処方薬をお飲みの方は、かかりつけの歯科医院にお薬手帳、または薬局発行のお薬説明書をご持参いただき受診されることをお勧めいたします。