歯の健康メモ
おとなの虫歯
【市報掲載:令和7年11月1日号】
小金井歯科医師会/千野 晃
多くの方が一度は耳にした事のある虫歯。虫歯は正しくは「う蝕」と言います。お口の中にいるミュ-タンス菌が糖分を分解して歯垢(プラ-ク)を作り、それで出来た酸が歯を溶かす事で発生します。う蝕にかかりやすい年代には3つのピークがあります。永久歯に生え変わったばかりの5~10歳、仕事が忙しくなり歯科医院に行きそびれる30歳代、「二次う蝕」や「根面う蝕」のリスクが高まる50~60歳代に分けられるます。近年では最初のピークの5~10歳のう蝕は減少傾向にあります。逆に50~60歳代の大人のう蝕は増加傾向にあります。
「二次う蝕」とは、治療済みの歯(詰め物をしてある歯)の周囲に起きるう蝕の事です。治療後に詰め物と歯との間に隙間ができ、歯垢がたまりやすくなる事が原因です。もう一つの「根面う蝕」とは歯と歯肉(歯ぐき)の境目に出来るう蝕です。歯周病や強い力による歯の磨き過ぎで歯肉が下がると、歯の根面(根元の部分)が露出します。この部分は上部の硬いエナメル質と違い、軟らかい象牙質であり弱い酸でも溶けてしまうためう蝕になりやすいのです。若いころに治療済みの歯がある方や歯肉が下がってきている方は、この様な大人のう蝕が出来るリスクが高いと言えます。大人のう蝕は進行が遅く痛みを感じにくかったり二次う蝕の場合、過去の治療で神経を抜いた歯は痛みを感じないので放置してう蝕が進行していたケースも少なくありません。
歯にトラブルが無いと思っていても知らず知らずに大人のう蝕が進む事も考えられます。う蝕を予防するには、毎日のケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスを心掛けましょう。
