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歯の健康メモ
災害時の歯科的身元確認について
【平成25年05月号】
東京都小金井歯科医師会 / 大沢 繁喜

 東日本大震災において、外観、所持品で身元の判明しなかったご遺体の歯の治療痕、口腔内状態から多くの身元が判明したとの報道がされています。

私たち歯科医療人にとって、当然、震災後の医療活動は劣悪な災害後の環境においては大事ですが、ご遺体の身元が判明することも、残された遺族の皆様にとって明日への糧になったようです。

 

では、どのようにして身元が判明したかをお話したいと思います。当然のように、ご遺体の生前の状態が分からないと身元の照合ができません。これは、その方が通っていた歯科医療機関で入手することになります。次に、ご遺体のお口の中の状態を死後記録として記録します。治療痕、残存歯牙の部位、義歯などの構造等が情報になります。これには、熟練した歯科医が当たることになります。歯牙の数は約32本までの間に収まり、おのおのの歯の種別はほぼ鑑別可能です。口腔内の歯牙状態の組み合わせは無数に存在しますので、生前の治療履歴、記録と照合しますとほぼ同一人との判定が下せることになります。

DNAによる個人識別が確実ではありますが、DNA検査の費用、期間などの問題から口腔内の状態よりの個人識別のほうが現時点では有用性が高いようです。もしもの時のために、ぜひ、かかりつけの先生にご自分の最新の状態をしっかり記録してもらってください。