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歯の健康メモ
歯科医師の仕事って何?
【平成14年05月05日号】
東京都小金井歯科医師会 / 湯山 幸寛

歯科医師の仕事はたくさんありますが、一般的には虫歯を削って詰める、冠を被せる。歯のないところに入れ歯を作る。歯周病、いわゆる歯槽膿(のう)漏の治療を行うことでしょう。

では、ほかには何があるのでしょうか。ボクシングの選手が試合のときに口にはめているマウスピースはご存知でしょう。あのマウスピースを作るのも歯科医の仕事なのです。各選手の歯型に合わせるオーダーメイドです。マウスピースは強いパンチの衝撃から歯や顎の骨を保護するために、上の歯と下の歯を一体型に柔らかい樹脂で包むようにできています。

最近では、柔道やラグビーなどの選手にも使うようになってきました。プレー中の不慮の事故で歯が折れたり抜けてしまうことが後を絶たないからなのです。これらのスポーツで使われるマウスピースはボクシングのものとは異なり、上の歯だけを包み、下の顎は自由に動くようにできています。ボクシングのマウスピースは100%歯と顎の保護を要求されますが、他のスポーツでは不慮の事故に備えるためであり、呼吸が楽にできるように作られています。このように目的によって作り方も異なります。アメリカでは既製品もあるようですが、歯の形や大きさ、または顎の大きさは千差万別です。合わないマウスピースを長期に使ったために、歯列異常を来たしたり、顎関節症を引き起した例も報告されています。やはり自分に合ったものを作ってもらうことが重要でしょう。

次は、音楽家における歯の重要性について、私の体験談をお話します。歯周病の治療によって歯の周りの歯肉が退縮(下がる)することはよくあることなのですが、これは、炎症がなくなり引き締まった歯肉を獲得した結果なのです。普通はこれで充分に良好な結果が得られたことになります。歯周病で治療を受けていたその方はプロのフルート奏者で、年齢は50歳代の方です。歯周病はよくなったのですが、歯肉の退行が前歯の歯と歯の間に隙間を作りました。フルートは舌先を前歯の付け根に触れて音を出すそうで、唇だけではないことを初めて知りました。その方はガムを噛み、それを前歯の隙間に押し当ててしばらくは演奏していたそうです。その話を聞いて、ガムに変わる隙間をふさぐものを作ってみようと試行錯誤しました。もちろんその方の感想を聞きながら改良しました。結果は、以前よりもよい音が出るようになったと、大変喜んでおられました。

ほかの先生方にお聞きすると、それなりに経験している方もおり、楽器の種類によって違いのあることを知りました.大学では教えられない経験医学なのでしょう。

いかがでしたか。歯科医師の仕事の取り組み、まだまだ興味深い仕事内容はあります。 まずかかりつけの歯医者さんでなんでも相談してみてください。思わぬことが解決するかもしれません。歯科医師もホームドクターとして要求される時代に突入しつつあります。私たち歯科医師は、市民の皆様とより身近な存在となることをめざしております。